ガラスショーケース内のライティングをより工夫を凝らし、お客様により魅力的に商品をお見せできるよう、具体的な5つのポイントをご紹介します。ぜひ、ディスプレイの参考にしてみてください。
1. 照度および照度均斉度
展示物の照明は、その素材や種類によって最適な照度が異なります。例えば、石や金属製の彫刻には 750 ~ 1,500 ルクス、絵画には 150 ~ 300 ルクス程度の照度が推奨されています。また、照度だけでなく、展示空間全体の明るさの均一性も重要です。照度が不均一な場合、展示物が暗く見えたり、逆に眩しく感じられたりする可能性があります。以下の表は、展示物ごとの推奨照度をより詳細に示しています。
750 ~ 1,500 lx | 彫刻(石、金属) 造形物 模型 |
300 ~ 750 lx | 彫刻(ブラスタ、木) 洋画 研究室 調査室 売店 入り口ホール |
150 ~ 300 lx | 絵画(ガラスカバー付き) 日本画 工芸品 一般陳列品 洗面所 便所 小集会室 教室 |
75 ~ 150 lx | はくせい品 標本 ギャラリー全般 食堂 喫茶室 廊下 階段 |
30 ~ 75 lx | 収納庫 |
5 ~ 30 lx | 映像、光利用の展示室 |
2. 照度分布およびフレア
展示品の劣化を防ぐため、照度は可能な限り低く抑える一方で、展示空間全体に心地よい明るさを確保することが重要です。また、観客の視線レベル(約1.5m)から光源が直接視界に入らないよう、展示ケースのガラス面への映り込みを最小限に抑えた照明設計が求められます。
3. 光の方向性
立体的な展示物(彫刻や陶芸など)を効果的に照明する際には、拡散光と集光を組み合わせて使用することが一般的です。展示物の最大輝度と最小輝度の比を 6 : 1 以下に抑えることで、立体感や素材感を豊かに表現し、鑑賞者に心地よい視覚体験を提供できます。
4. 演色性と色温度
展示物の全体を均一に照らす場合は蛍光灯、特定の部分を強調したり立体感を出す場合は白熱灯が一般的に使用されてきました。しかし、近年ではLED照明の性能が向上し、様々な色温度や演色性の光源が選択できるようになっています。一般的に、展示空間に温かみを与えるためには、色温度が 5,300 K以下の暖色系の光が好まれます。
5. 光による被害の防止
光による変色や退色は、照射される光の量(照度 × 時間)に比例して進行します。特に、スポットライトなどの集光性の高い照明器具を使用する場合、展示物に照射される光量が集中し、変色のリスクが高まります。展示物の素材特性を考慮し、適切な照度と照射時間を設定することが重要です。変色しやすい素材の展示品には、紫外線カット機能付きのLED照明を使用することで、より効果的に劣化を防止できます。